ヒューリスティックによる意思決定について

こんにちは。
MarketingStock管理人です。

前回は、2つの思考経路があるとお伝えしましたが、
覚えておられますでしょうか?
→人が物を買うときの2つの思考回路

簡単におさらいしますと、
人が物を買うかどうかの意思決定には2つのパターンがあります。
中心経路…熟慮型、論理的、統計データ、事実情報で判断
周辺経路…直感型、感情、イメージで判断
という内容でした。

今回はこの周辺経路についてさらに詳しくお伝えしていきます。

この周辺経路のアプローチの特長は、メッセージの本質的な内容ではなく、周辺的な手掛かりをもとに手軽に判断を行うことがあげられます。

例えば、情報を発信している人が専門家や大学の教授などといった”信頼できそうな人物”かどうかで判断してしまうということが多々あります。

これは、「専門家のいうことは正しい」、「信頼できる人は正しい意見を述べている」、
「多くの人が賛同する意見は正しい」という思い込み、つまり周辺経路による判断によるものです。

この周辺経路のアプローチは、別の表現で、【ヒューリスティック】と呼ばれています。

※ちなみに専門用語では
●中心経路のアプローチ…精査可能性モデル(ELM:Elaboration Likelihood Model)
●周辺経路のアプローチ…ヒューリスティック- またはシステマティックモデル(HSM:Heuristic-Systematic Model)
と呼ばれています。

TVCMは、15秒もしくは30秒しかありませんので、
じっくり考えさせるのではなく、雰囲気イメージ、
とにかく印象に残る映像や音などを使っています。

つまり、ヒューリスティックを活用し購買欲求を促しています。

もちろん商品が高額であったり、
価格が安くても購入後その商品が何らかの形で
生活に色々な影響を与える場合は、周辺経路のイメージや雰囲気だけで判断せず
熟慮型の中心経路で意思決定をします。

要するに、自分にとっての重要度合いが高い場合は、
中心経路によって購入するかどうか判断します。

しかし、スーパーやコンビニなどで食品を買う時、
本当にその商品を選ぶべきか、本当に自分にとって必要なものかどうかをあまり熟慮せず、
パッケージのデザインやブランドの好き嫌いなどで判断してしまうことがほとんどです。

なぜヒューリスティックによる判断をしてしまうのか?

その理由を解くカギは「脳」にあります。

脳は、多くの情報がある時、すぐサボろうとする、
面倒なことをショートカットしようとする傾向があります

現代人はとにかく忙しい。、
さらに、毎日膨大な情報に接しています。

一説によると、我々が一日に接する情報量は
江戸時代の一生分に相当するそうです。

情報量が増大し、
選択肢が増加している割には、
その問題を注意深く考える時間が少ない。
また、その問題が自分にとってさほど問題ではなくい

そして、じっくり考えることなく
手っ取り早い情報処理が必要になり、ますます
ヒューリスティックによる意思決定に頼らないといけなくなります。

ちなみに、
どんな時にヒューリスティックで判断してしまうのか?
書籍 プロパガンダでは次の5つがあげられています

1.その問題を注意深く考える時間がない
2.情報が多すぎて十分に処理できない
3.その問題が自分にとってさほど問題ではない
4.意思決定に用いる他の知識や情報がほとんどない
5.その問題が直面したとき、特定のヒューリスティックが心の中に浮かんだとき

ヒューリスティックに依存することのメリット・デメリット

上記の問題に対処する手段としてヒューリスティックは有効で、
素早く手っ取り早く情報を処理するというメリットがあります.

しかし、ヒューリスティック自体が、私たち個々人が生まれてから現在まで蓄積されてきた、
過去の記憶、経験、慣習、常識による思い込み、偏見、固定観念、信じ込まされたこと、
判断などの総合的作用によって行われ「この場合はこう判断するのが妥当だ」と無意識判に判断してしまい、
必ずしも合理的で正しい判断とは言えません

その結果、
1.必要ないものを欲しいと思い込み買ってしまう
2.容易にねつ造したり、操作したりすることが可能で、それに騙されてしまう

というデメリットが生じます。

とくに、2はゆゆしき問題で、昨今問題となっているオレオレ詐欺、還付金等詐欺では
高齢者が自分自身が生きてきた経験、体験、思い込みをもとに判断する傾向が強いため、
ヒューリスティックによる意思決定をすることを悪用しています。

例えば、
●オレオレ詐欺の場合
電話を利用して親族、警察官、弁護士等を装い、交通事故の示談金などの名目で現金を預金口座等に振り込ませる。

●還付金等詐欺の場合
務署や社会保険事務所等の職員を名乗り、
税金や保険料等を還付するのに必要な手続きかのように装って、
ATM まで誘導し、ATMを操作させ、口座間送金により現金を騙し取る。

といった悪しき行為によって、多くの被害が後を絶ちません。

オレオレ詐欺の場合、
自分の身内が予期せぬトラブルに陥っているがゆえに
緊急に対処する必要があり、じっくり考える時間がなく、
しかも連絡してきたのが社会的に信頼ある立場の人間を装い、
まやかしの解決策を提示してくることで、
どうしたらいいかわからない被害者はついつい詐欺師の罠に引っかかってしまうのです。

還付金詐欺の場合も
社会的に信頼ある立場の人間を装う
緊急に対処する必要性
まやかしの解決策を提示
といった部分が共通しています。

予備知識がない場合、周辺情報を手掛かりに判断してしまうという、
まさに、ヒューリスティックスを悪用した例です。

では、このような誤ったヒューリスティックの判断を避けるにはどのようにすべきでしょうか。

誤ったヒューリスティックを避けるには?

商品を購入する場合であれば、次のような対処法が考えられます。

●イメージに惑わされず、商品の内容を詳しく調べ吟味する
●成分内容について詳しく調べる
●企業の発しているメッセージが正しいのか正しくないのか
なぜそう言えるのか?その根拠、証拠を調べる
●消費者としてもっと賢くなる
●中心経路でものを考える
●本当に自分に必要なものかを考える
(他の人には役に立っても、自分には合わない場合があることを知っておく

ヒューリスティックの考えをマーケティングへに活かすには?

●なるべく情報の選択肢を単純化させる、わかりやすくする。
●選択肢が多すぎると、何を選んだらいいのかわからなくなるので、
選択肢を減らすか何をどう選ぶべきか、その基準、選ぶポイントなどをアドバイスする
ランキングなども一つの方法
●見込み客一人一人のニーズに合わせてカスタマイズするなど、
個別対応が必要になる。
●選択肢が多い場合、情報を身極めて最適なものをすすめるコンシェルジュ的なサービスも必要
●選択肢を3つくらいまでにする
●情報を整理し、客を迷わせないようにする
●お客が必要とするものを、お客自身が分かるようにする仕組みを提供する。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回はヒューリスティックとは何か?
なぜヒューリスティックに依存してしまうのか?
ヒューリスティックのメリットデメリット
誤ったヒューリスティックを避けるための方法
ヒューリスティックをマーケティングに活用する方法
についてお伝えしました。

以上ここまで。

本日もお読みいただきありがとうございました。
ではまた。

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