売れるネーミングのつくり方

こんにちは。Marketingstock管理人です。

最近ある事業立ち上げを手伝う機会があり、事業全体の企画と、新商品のネーミング、パッケージ、
販促ツールの作成など関わらせて頂く事がありました。

今まで、何度かネーミングの仕事を請負ったことがあるのですが、
自分の中であまり明確にメソッドとして確立していませんでした。

しかし、今回の仕事で色んな書籍や情報を参考にしながら、
ある程度メソッド化できたので、売れるネーミングのつくり方ということで、
このブログを御覧の方だけ特別にシェアさせて頂きたいと思います。

なぜネーミングが重要なのか?~ネーミングの重要性~

ネーミングは、例えば両親が生まれた子供に幸せな人生を歩んでほしいと名前を付けるようなもの。

名前に、その子の一生が託されているわけです。

同じく、この世に誕生したすべての商品は、企画者、開発者、マーケッター、生産者、取引先、販売者、など
様々な人の思いが詰まっています。

しかし、日々無数の商品が生まれ、そしていつか忘れ去られ、相手にもされず
無残にも死んでいく商品も星の数ほどあります。

そんな中、消費者から選ばれ、売れ続けるためには、ネーミングは非常に重要。
このネーミングの善し悪しで売り上げが爆発的に変わります。

特に売る商品が情報やサービスの場合、モノではなく形が見えませんから、
ネーミングの善し悪しで第一印象が決まってしまうのです。

つまり、買うか買わないかの判断はネーミングによって大きく左右さる。
ということです。

例えば、「スリムドカン」
という有名なサプリメントがあります。

あなたも買ったことはないにしても名前は聞いたことがありますよね?

「スリムドカン」

聞いただけで、どんな効果があるのかがイメージできる優れたネーミングです。

これを世に出した斎藤一人さんはこのサプリメントで億万長者になりました。

この商品の内容自体は、おそらく競合他社の商品とあまり差はないでしょう。
しかし、「スリムドカン」という優れたネーミングによって、
数ある競合に打ち勝っているのです。

他には、今まであまり売れなかった商品が、
ネーミングを変えただけで爆発的に売れたという例があります。

例えば、「鼻セレブ」
というティッシュボックスがあります。

この商品はもともと、「モイスチャーティッシュ」という名前だったそうです。
高機能な商品なのに売り上げが伸び悩んでいたそうです。
そこで、ネーミングを変え、デザインも一新した結果…

以前の4倍近い売り上げになりました。

他にも、「フレッシュライフ」という抗菌防臭加工の靴下を
「通勤快足」
に変更したところ、
売り上げは約10倍に!

そのほか、ネーミングによって売り上げが大きく伸びた例は枚挙にいとまがありません。

ネーミングの重要性はお分かりいただけたか?

ネーミングの役割について

では、次にネーミングの作り方をお伝えしていきます。
が、その前に、ネーミングの役割についてご説明しましょう。

なぜ、これを説明するのかというと

ネーミングの善し悪しの判断にもなるからです。
大変重要なので、ぜひメモをしておいてくださいね。

ネーミングには3つに役割があります。
●他社との識別機能
●コンセプトの伝達機能
●イメージ訴求機能

順番に説明していきます。

他社との識別機能

これは、他社商品サービスとの違いを認識させるための機能です。
いくら頭をひねって考えぬいたネーミングでも、他社との違いが認識できなければ、差別化も出来ませんし意味がありません。
また消費者が混乱する事にもつながります。
ネーミングの最大の使命とも言える部分ですので、個々は必ず抑えるべきポイントです。

コンセプトの伝達機能

これは、ネーミング商品を通じて、サービスの独自のコンセプトを伝える機能のこと
一言で、その商品の価値が伝わるよう機能のことです。
商品名を聞いただけで、商品の特長や効果、ベネフィットが伝わるようなネーミングにしないといけないということです。

イメージ訴求機能

これは、ネーミングを耳にしたとき、意味を伝えるというよりも「おしゃれ」「洗練されている」「かっこいい」「暖かみがある」「クール」「高級感」「手軽さ」など音の響きによって雰囲気やイメージを伝える機能のことです。

では、上記を踏まえて、具体的にネーミングを作るステップに移ります。

ネーミングの作り方~ネーミングをつくるステップ~

ステップ0.準備

商品サービスのコンセプトを分解し、
各要素に関連するキーワードをすべて書き出す

もしかすると、コンセプトが明確ではない、ケースもあるかもしれません。

そんな場合、まず以下の構成でコンセプトを決めます。

コンセプトは次の構成でつくられています。

誰が、どんなシーン(時間、場所、場面 いわゆるTPO)で使用して、どんな結果が得られるものか
これを一言で言い表します。

コンセプトが決まっている場合、以下の要素に分解してみてください。

誰が…ターゲット
シーン…いつ、どこで、どんな時、どんな場面で使うのか
結果…商品の機能性、商品を使うことで得られるベネフィット

そして、これらの要素ごとに関連するキーワードを書き出してください。

ステップ1.商品サービス訴求点に含まれるキーワード、商品サービスにまつわるキーワードを全て書き出す

コンセプト以外に、商品の訴求点、特徴、商品誕生のストーリーや開発秘話など
商品にまつわる様々な情報をもとにキーワードを書き出してください。

ステップ2.上記で書き出したキーワードをいくつか選び、組み合わせ、加工編集する

上記で書き出した数多くのキーワードを全て使うわけではないので,
キーワードを取捨選択し、組み合わせ、情報を凝縮させる必要があります。

キーワードの組み合わせ方

組み合わせ方はいくつかあります。

1.組み合わせ方式 X+Y→XY

解説:2つのキーワードをそのまま組み合わせます。
例:ゴキブリハンター、鼻セレブ、

競合商品と類似したものにならないようにするには、
異質なキーワードの組み合わせがおススメです。

2.複合方式 X+Y→Z

解説:2つのキーワードを共通の文字でオーバーラップさせるやり方
例:リシェール(richair ヘアトリートメントの商品名)
rich(豊かな)+hair(髪) それぞれのキーワードのhの文字をオーバーラップさせています。
例:い・ろ・は・す(いろは歌 + LOHAS ロハス)
例:熱さまシート/小林製薬 (熱さまし+シート)

3.混成方式 X’+Y’→Z

解説:2つのキーワードの一部分づつをつなげるやり方
例:アスタリフト (アスタキサンチン + リフトアップ)

4.引き算 X-α→X’

解説:一つのキーワードから、一部分を省いて、まとまりのある音感に仕上げるやり方
例:クリクラ(宅配ミネラルウォーター。
元々クリスタルクララという名前でしたが、クリクラという名前で言いやすくなりましたね)
例:セガ SEGA (SERVICE GAME)

5.接頭語方式 α+X→αX

解説:キーワードの頭に接頭語をつけ、新たな意味に仕上げるやり方
例:eTAX
eを頭に付けることで、今までのサービスがネットを介した新サービスになるパターンは良く見かけますよね。

6.接尾語方式 X+β→Xβ

解説:キーワードの後に接頭語をつけ、新たな意味に仕上げるやり方
例:

7.頭文字方式 X’+Y’+Z’→N

解説:複数のキーワードの頭文字を抜き出して、つなげて一つのまとまりのある形にするやり方
例:DoCoMo(Do Comunication Mobile)、
例:MBA(Master of Business Administration)
例:ASICS(Anima Sana In Corpore Sano 「健全な精神は健全な肉体に宿れかし」というラテン語の格言の頭文字をとったもの)

組み合わせ以外のやり方

1.語呂合わせ式

解説:ある言葉の中の一部分を別の言葉に言い換えて、全体として別の意味をもたせるやり方
例:最洗ターン(東芝の洗濯機)

2.回文

解説:中央の文字を中心に、左右もしくは上下に同じ文字が繰り返されるやり方。
例:山本山(昔CMでよく流れていた「上から読んでも山本山。下から読んでも山本山」。というフレーズがありました。そういえば最近このCM見ませんね…)

3.掛け言葉

解説:一つの名前に複数の意味を込めるやり方。
例:目髪様(銀座まるかんの商品名。女神さまにかけている)

4.擬人化

解説:商品やサービスをキャラクター化することで、親しみやすさを訴求するやり方
例:ガリガリ君、すし太郎、

5.会話調

解説:会話調にすることで、親しみを持ってもらいやすくなる
例:おーいお茶、ごはんですよ!、あ!あれ食べよ、

6.擬音・擬態語(オノマトペ)

解説:ふわふわ、どんどん、シュワシュワなどオノマトペを使って、商品の特徴をイメージさせるやり方
例:ゴキブリホイホイ、

7.繰り返し

解説:同じ言葉を繰り返すやり方。どこか可愛らしく、愛らしいイメージになります。
例:キレイ、ルナルナ

他にも、文章型や記号型など、やり方は色々ありますが、とりあえずこのへんにしときます。
(思いついたら追加します。)

ステップ3.情報を凝縮

さて、上記で説明したような方法でたくさんのアイデアが出てきたと思います。
しかし、作業はここで止まりません。
出てきたネーミングの原案をさらに凝縮させることも考えないといけません。

凝縮と言いますのは、キーワード同士を組み合わせて作ったネーミングの原案を
さらに編集加工して、仕上げる完成作業になります。

単にキーワードの組み合わせだけで、バッチリ期待以上のものができればいいですが、
長くなったり、なんかしっくりこないなということも出てくるかと思います。
そこで、この凝縮を行ってみてください。

凝縮させる3つのポイント

●簡潔で明快にする

複雑でややこしい、言葉にしにくいものは、人にも伝えにくいし、記憶にも残りません。
ですので、極力シンプルかつ明快さが重要です。

●一目で認識されるようにする

ネーミングは文字にした時に一目で認識されなければなりません。
また、ネーミングが決まってからロゴマーク化されるので、
デザインされたときの見やすさも非常に重要な要素となります。

●音の響き、リズム、など考慮する

言いやすさ、語感というのも大事な要素。

消費者の視点で次の5つの項目をチェックしてください。

読みやすさ
書きやすさ
覚えやすさ
親しみやすさ
美しさ

例えばいい語感にするコツですが、
「単語の母音をそろえる」
だけでも語感がよくなります。
例:コカ・コーラー(「コカ」と「コーラー」は同じ「あ」の母音になっていますね)
例:宅配ミネラルウォーターの「アクアクララ」(「アクア」も「クララ」も同じ「あ」の母音)

ネーミングアイデアの量を増やす方法

さらにネーミングのアイデアを増やすには、次のような方法も考えられます。
1.ステップ0、ステップ1で書き出したキーワードに関連するキーワードを類語辞典から抜出し、
キーワードの表現の幅を広げる

2.多国語辞典を使って、今まで出てきたキーワードをいろんな国の言葉に置き換える。
キーワードを出すときに日本語、英語のほかに、ラテン語、ギリシャ語、イタリア語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、ロシア語、エスペラント語など
からピックアップする

3.キーワードの組み合わせと凝縮(編集加工仕上げ)
ステップ1~3と同じことを行う

まとめ

だいぶ長くなってしまいましたが、

今回は、
●ネーミングの重要性
●ネーミングの役割
●ネーミングの作り方
についてお伝えしました。

ネーミング作成において、今までにないものを作ろうとすると、
異質なキーワードの組み合わせが有効です。
作る前にどれだけ重要なキーワードを準備できるかがカギになります。

ネーミングについて「もっと深く知りたい」
学んでみたいと思われた方は今回私が参考にさせて頂いた以下の書籍がお薦めです

【参考にさせて頂いた書籍】

ブランドネーム誕生物語(横井恵子 中央公論新社)
著者は、「DoCoMo」「りそな銀行」「あいおい損保」「日興コーディアル証券」「au」「BIGLOBE」など、数百件に及ぶ社名やブランドネームの開発実績がある。

この本で取り上げられているのは、単に商品のネーミングというよりも、ブランドネームを中心に書かれている。

ネーミングの哲学や発想法、過去の仕事を具体的に紹介している。
ネーミングを作る過程でどのように考えたのか書かれているので、著者の思考を学ぶことができます。
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ブランドネーム誕生物語(横井恵子 中央公論新社)


 

ネーミングが広告だ。―「売る広告の素」岩流ネーミング作法(岩永嘉弘著 宣伝会議)
著者は、マス広告の分野では大御所のコピーライターとして知られ、
数々のネーミングを生み出してきた第一人者。

ネーミングだけでなく、著者のコピーライターとしてのいきさつや、
広告業界の裏側についても学べる。
ネーミングが決まった後の、商標の取得の流れや、細かい業務の流れも記載されている。
1998年に書かれた本なので、ネーミングの事例が古いが、ネーミングの考え方は今でも十分使える内容です。
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ネーミングが広告だ。―「売る広告の素」岩流ネーミング作法(岩永嘉弘著 宣伝会議)


 

売れる! ネーミングの発想塾(斉藤孝 ダイヤモンド社)
「系」と「型」の穴埋めで、誰でもヒットメーカーになれる! 事典ではなくネーミングの「プロセス」をひも解いた画期的な本。

ヒット商品のネーミングを様々な視点で分類してくれていて、
非常にわかりやすい本。
しかも誰でもネーミングの達人になれるテンプレートもついていて、
実践的な内容だと思います。
とっつきやすさではこの中の本では一番です。
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売れる! ネーミングの発想塾(斉藤孝 ダイヤモンド社)


ぜひお近くの書店かアマゾンでご購入してみてください。

以上、ここまで。

今回は売れるネーミングの作り方についてお伝えしました。

本日もお読みいただきありがとうござました。
ではまた。

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