【書籍要約】欲望のマーケティング


欲望のマーケティング (ディスカヴァー携書 山本由樹著)

●世代の感性は5歳刻みで変わる
●人間を突き動かすのは【欲望」

「言えない欲望」にこそ、その人の本当の姿がある。顕在化されていない個人の欲望がその他大多数の「潜在的な欲望」を代弁するとき、そこに新しいマーケットが生まれる。

●人に言えない音を聞き出すポイント
「話せないけど、  で楽になりたい事ってありますよね。
わたしはそれを感じ取って、話しやすい関係を作るだけなんです。

●インタビューの駆け引きで関係性を築くポイント
1)共感 2)共有 3)告白

共感について
相手を全面肯定する。 おうむ返しの術
「うんうん、わかる」などの間の手を入れる。

共有について
相手よりも先に聞き手自らが、自分の内面を語ると、相手が次に告白しやすい雰囲気をつくることが出来る。

告白について
相手からの告白が始まったら、必要以上に驚かないこと。
意見を言わないこと。
告白する心理状態のとき、ニュアンスや仕草で「話し手も良い」というサインを送っているので、それを読み取る。
読み取ったら、背中を押す。相手が告白したい事を代弁する
「こんなに頑張ってキレイになったら、本当はもっと愛されたいよね。」
自分を馬鹿に見せ、低く見せ、何も知らない振りをして聞き出す。
知ったかぶりをしない事

欲望のマーケティングのポイント
1.絞り込む(ターゲティング)
2.巻き込む(エンクロージング)
3.振り動かす(シェイキング)

ターゲットの絞り込み
もっと売りたいという欲がブランディングでは一番の敵

他にはないメッセージ
絞り込んだターゲットにメッセージが刺さった時、価値観が揺れ動き、新しいライフサイクルが生まれる。

新しいライフスタイルの提案
美ST 「40代を本当に美しくするのは、衣食住より、美食習」

「美」 肌に直接働き抱えるビューティー
「食」 内側から美しくなる食事やサプリメントなどのインナービューティー
「習」 エクササイズやマッサージサロン施術などの美しくなる習慣

●スペシャルな何かによる差別化とは?
メッセージ構築をベースとしたライフスタイルの商品化。
そのメッセージが組み込まれた商品を買わなければ、はじまらないライフスタイル

メッセージ構築によって人の感性を刺激するときは、どこを刺激するかをよく考えるべき。

●人間が他社に感情を抱く環境の4段階
同情→共感→賞賛→嫉妬

女性週刊誌は同情と嫉妬のメディア
女性誌は共感と賞賛を狙って作られている。

美魔女は共感よりのアイコン
月刊 Martは共感のみで成り立っている
賞賛レベルのタレントを生活者として共感を演じている

震災後のマーケティングでは、より「共感」のほうが消費者を説得しやすい。

かつて消費によってより高い自己実現が得られたかに見えた右肩上がりの時代は
「賞賛幻想」が説得力を持っていた。
現在は共感の時代
共感の感情を刺激しつつ、ほかの共感商品と差別化させる必要がある

共感性で絞り込む→口コミを使う
情報は人の体温によって絞り込める
例:食べログ、一休ドットコム
→共感性による絞り込みを機能させる好例。

共感性は微妙な価値観のずれで簡単に失われる。

●多くの人に売ろうとしてコンテンツを薄めてはいけない

マスに展開するためには、あれもこれも盛り込むと個性的なコンテンツ力が薄まる。
「薄めるという判断は最悪。攻めるなら覚悟を決める」
結果的にマスを獲得するのは、絞り込んで個性を出したプロダクト。
例:AKB48→一部のお宅に熱狂されるところからはじまっている。
→「マイクロトレンドを生み出せ」

●今までにないライフスタイルを生み出せると、ターゲットを絞り込むことができ、新しい市場を作ることに成功できる。

「絞り込む」ためには暴投くらいがちょうどいい。

●ブームを作りたければ社会現象化を目指せ
オーディエンスを増やす(事前の「認知体験」が大事)
例:食べるラー油
第一段階:認知(メディア、口コミでの情報認知体験)→「食べラーなら知っている」
第二段階:接触(情報をもとに接触体験)→「買いに行ったけどいろいろあって迷った」
第三段階:実体験(直接体験)→「たまごかけご飯にかけたら超うまかった」

●認知をどれだけ広げられるかが、新市場を作るカギ
顧客+オーディエンス(見ている人、知っている人)→ファン

ファンを増やすにはいかにオーディエンスに拡散していくかがカギ。
このとき「好意的レスポンス」だけでなく、
「反感的レスポンス」もふくめたノイズの発生が重要。

好悪とりまぜた様々な反響が、さらにノイズを高める。そして【無視できない存在】となる。

「好感」一辺倒の反響は、逆に一過性で終わる恐れがある。
反感はある時点で行為に代わる可能性があるが、「どうでもいい」存在は評価にさえ上がらない。

●人間の行動プロセス
1.認知:情報を得る
2.判断:得た情報をもとにどう行動するか決める
3.行動:決定を行動に移す

→行動の源泉には、情報がある。
情報がなければ、人間は行動できない。

→情報に飢えている人たちを食いつかせるだけのバリューのある情報を発信できれば、消費行動へ至るベースを作り出せ社会現象化でき、市場が生まれる。

●行動の源泉は「認知」
「認知」とは「欲望」と言い換えていいくらい一体化している。
「認知」は「情報の採取・取得」によって得られる感覚なので、「食べラーというものがある」「いい女がいる」といった情報をあらかじめ取り込んでおくことが、欲望直結の原理。
→情報を拡散させて、潜在的顧客を増やすことが重要。

例:いい女的情報を身にまっとっているカフェテラスの人待ち顔の女性について
→男性に刷り込まれ記号化された「いい女」的情報を通りすがりの男子に「認知」させることにより、たちまち「欲望」を喚起し「行動」に移さしめている。
つまり男性は「記号化された情報」に欲望を感じるのであって「女性」そのものに欲情するのではない。
つまり「情報」こそ「欲望」そのもの。

あらかじめ刷り込まれ、記号化された「情報」が欲望を喚起するのであって、欲望単体で存在するのではない。だからこそ欲望をあおるマーケティングができたら、そこに新しい市場ができる。

●オーディエンスを集める(巻き込む)には、SNSを使う。
巻き込むとは参加させること。
ウェブの中に日常がある。

新しい市場を作るときは、ビジネスモデルを作る時と同じくらいコンセプトワークに力を注ぐことが大切。

●新しいブームを起こす4条件
BRNW(ブランニュー)
B:Brand 雑誌というブランド力と信頼性の高いメディア
N:News  話題性のあるキーワード
R:Real リアルのコンテスト
W:Web ウェブという情報拡散性と相互性の高いメディア

→新しいトレンドを生み出す必須条件。これがそろっていれば、ブームは起こせる。

●揺るがせているか?
~マーケットをマネタイズするしぇいキングメソッド~

新しいマーケットで消費を発生させるには、ターゲットを【揺るがす】≪シェイキング>ことがベスト。

「揺るがす」とは一言でいうと、
「理想と現実のギャップを感じさせ、理想に近づこうと思わせること」
→ × 憧れ but 手が届かない
→ ○ 憧れ and 遠くない
「頑張ったら近づけるかも」という理想があれば、現実とのギャップを埋めようとマネタイズの可能性が生まれる。

憧れ and 遠くない で頑張る気持ちがわいてくる。→ちょうどいい距離感ががんばろうというモチベーションを生む。

人は夢が実現することを一度知ると、努力を積み重ねる意味を知り理想を形にしていく過程で、スタート地点よりもずいぶん遠くへの理想にたどり着く。
「手が届く理想」を手に入れたいと思うとき、人は揺るがされ、消費行動をお起こす。

●揺るがすために必要な条件
理想と現実のギャップ
1.理想へ向かうベクトル 「ああなりたい」
2.理想から遠ざかるベクトル  「ああはなりたくない」

「なんとなく不満」な状態でいてくれた方が、消費意欲は高じる。

「現実」というあいまいな自分の立ち位置は、「他社との比較」(相対的な関係性)からしか実感できない。
→これを測るために「実例」が必要になる。

リアルな自分を知りたくないのが人情
→リアルすぎる現実はあきらめに直結してしまう。

●ショップチャンネルの揺るがすコツ

5つの説得力のある言葉を言えたら、爆発的に売れる。(利便性や汎用性にかんすることなど)
例:「しわにならないので、旅先で便利」
「カジュアルからお出かけまで使える」

スタイリストというプロの第三者的な立場からの発言が説得力になる。

商品を売るために一番大事なのはワクワク感
「今からでも変わる!変わらなきゃ!」
現実の自分自身よりも、輝く自分になれるというメッセージが、消費者を揺さぶるキーワード。

●「なんとなく不満」からマーケットを作る

リアルすぎる現実はあきらめに直結するので、「なんとなく不満」という状態が消費発生にはベスト。
「なんとなく不満」のディテールを刺激すること。

●揺るがすために実例が必要だが、ほかに必要なものがある。

「本当はみんな知っている。やっている」という共有感。
「乗り遅れちゃう」という強迫感。

●「みんな一緒」でマネタイズ

これをつくればコアに消費を発生させ、広くファン全体に広げられる。

「みんな一緒」を刺激するための4条件
1.「みんな」の潜在的な欲望を感じ取れていること
2.「みんな」の共感が集まる場があること
3.「みんな」を動かす魅力的な商品があること
4.「みんな」なら乗り越えられる壁があること

●日本人はあいまいな相対性の中で物事を判断したがる

よく言えば柔軟性がある。
悪く言えば流されやすい。

よく言えば団結力がある。
悪く言えば個としての判断力がない。

今も昔も個人の意思よりも集団の意思を優先してしまう。
基準となるのは、その集団の中で自分がどういうポジションにいるかということ。
「目立ちすぎても嫌だし、杯没もしたくない」

欲望とは個の存在から発するもの。
相対性の海に漂う「あいまいな私」は、自分の欲望を明確に言語化できない。
つまり何か「よくわからないもの」に突き動かされて生きている存在。

「言えない欲望」の水面下に巨大な「言語化できない欲望」がある。
それを顕在化させることこそが「時代」を切り取ることに他ならない。

欲望のマーケティング (ディスカヴァー携書 山本由樹著)

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